月隠れの庭

「じゃ、後はここの掃除まかせたからな」

「えっ、1人で?ちょっと待ってよ…」

アタフタとする尚人を見て、

「人鬼はお前に会いに来たんだろ?だったらオレ、関係ないし」

流星はしれっと答えると、モップを渡した。


「流星が連れてきたんじゃないか!!」


「ばーか。オレはキッカケに過ぎないんだよ。最終的に人鬼はお前の目に引き寄せられて来たんだからな。口動かさないで、手動かせよ。早くしないと、夏緒さん起きてくるぞ」


ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべたまま、流星は2階に向かう。

その背中を見ていた尚人は、突如にょきっと床から生えた白い手が、彼の足首を掴むのを見た。



(あ………)



それはこの家に越して来た時からいる地縛霊だった。

悪さはしないので、放っておいたのだが…。


「りゅうせ…」


尚人が教えようとした、その直後。


ドターン!!


流星の派手に足を踏み外す音が家中に響き渡った。