月隠れの庭

「お前は…人鬼!?」


子供の頃に蔵で遭った、尚人の右目を奪った鬼。

この16年間、行方を追い続けた人鬼-----。


「僕の目を返せ!!」


《私を忘れていた訳ではないようだな…》


鬼は尚人の反応に、満足そうな声を出した。


「忘れるもんか…っ」


人鬼が傍にいるせいか、尚人の目が酷く痛んだ。


「返せよ、返せ!!」


逃がすまいと尚人は必死で声の方へと向かっていったが、難なく交わされてしまう。


《どうした。ここだ、ここだ》


ひらひらと舞うようにすり抜ける気配は、尚人を挑発してくる。

緩い風が辺りを漂い包んだ。