月隠れの庭

何か《よからぬもの》がこの家に入り込んできている。


(まずいなぁ。街に出て何かを拾ってきたかな)


稀にだが、そんな事がある。

生前の心残りや恨み、妬みを訴えてくる霊たちは皆、人鬼の力に引き寄せられてくるらしいのだ。


「!!」


突如、暗闇から音もなくすぅっと伸びてきた白い手が尚人を招く。

チリッと右目が痛んだ。


《いつまで待たせるつもりだ…》


低い低い声。

闇の奥から響いてくる暗い声。

その声に聞き覚えがあった。