月隠れの庭

「………」

耳を澄まして暫くじっと様子を窺っていたが、そりきり何も聞こえない。

飲んだコップをシンクに置くと、廊下に出た。

その時。


ひた…ひた…ひた…


玄関の方から何かが歩いてくる。

暗闇の中、尚人はじっと目を凝らした。



ひた…ひた…ひた…



新興住宅街に建つ、家の廊下がそんなに長い訳もなく。

なのに、足跡は長い道のりを歩くように響いてくる。


ひた…ひた…


尚人はゴクリと唾を飲んだ。