月隠れの庭

      ☆

「ただいま」

2週間ぶりに尚人は自宅の玄関を開けた。

「おかえり、どうだった?久しぶりの故郷は」

夏緒がそんな息子を笑顔で迎える。


「楽しかったよ。あちこち懐かしい場所を回ってきた。流星のおじさんも元気にしてた。母さんに宜しくって…はい、これお土産」


紙袋を渡すと、尚人はカバンを持って2階に向かう。

「荷物、置いてくる」

「珈琲入れるから、置いたら降りて来なさいね」

「うん」

階段を上がり、自分の部屋に入ると尚人はカバンの横ポケットに小さな封筒がねじ込んであるのに気づいた。


「?」


自分で入れた記憶がないと言う事は…。

中身を取り出すと、5個の指輪と折り畳まれたメモが入っていた。


(流星からだ)


なぜ今更と思いつつも、メモを開く。

そこには、


『たぶん必要になると思うからやるよ』


達筆な字でそれだけが書かれていた。


(何で?)


尚人は意味が分からなくて、首を傾げる。

もう必要ないはずだが。


(まぁ、いいや。後で無事帰り着いた報告がてら、電話した時にでも聞いてみよう)


ベッドの上にそれを置くと、尚人は廊下に出た。
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