月隠れの庭

      ☆

「私は憎しみと悲しみより、言葉通り鬼となった…真島の人間を1人残らず食らい尽くし…そして根絶やしにした…」

まるでその光景を目の当たりにしているかのように、彼は自分の両手を見つめる。


「それで…あなたの気は晴れたんですか?」


「だったら今、私はここにいないだろう」


彼は自嘲気味な笑みを浮かべた。

「復讐をすれば、自分自身の存在も塵のように消える…鬼とはそんなものだと思っていた。だが、目的を果たしてもなお私は存在し、枯渇した喉を潤すように人間の血を求め彷徨った…自分ではどうしようもなかった。全く関係のない人間を巻き込む度に心が痛んだが、飢えを感じるとそんな気持ちは失せる。繰り返しの地獄から逃れる術はなかった…」

「けれどそんな時、あなたは正恵さんに出会うんですね」

「あぁ。あちこちの地方を渡り歩き、辿り着いた町に彼はいた。それから先は、お前が知っている通り…」



「あなたは寂しかったんですね…生きている時も死んで鬼になった間も」



「…寂しい?お前も正恵と同じ事を言うのだな」

恒靖は不思議そうな声を発する。