月隠れの庭

…それから間もなく、時崇はこの世を去った。

その死は世間に公表される事なく、身内だけで静かに埋葬されたという事だった。

恒靖が事実を知ったのは、亡くなって三日目の朝の事である―――。




「知らせを聞いた私は、兄と2度と会えない悲しみに泣いた。最後に別れを告げさせてすら貰えなかった事に強い憤りを感じ、それと同時に己の無力さを悔やんだよ。私は兄に何もしてやれなかった…」

墓前に花を手向ける…それすらしてはやれないのだ、と。


「………」


尚人は薄闇の中に吐き出される、彼の思いに身を沈めて目を閉じる。

そこには彼の右目を通し、鮮明に映る当時の様子が見えた。