月隠れの庭

(オレ1人の力じゃどうにもならない!!)


そう思った流星は、悔しさに唇を噛み締めながら寺へ向かっていた。

変なプライドで幼なじみに何かあっては、夏緒に合わせる顔がない。

ここは不本意だが、父・正成の手を借りるしか方法はないのだ。


(チッ、こんな事なら小さな頃から真面目に修行しとくんだったよ!!)


心の中で愚痴をこぼしていた、その時だった…。


ゾクッ!!


全身に悪寒が走り、足を止める。

凍りつくような霊気に、彼は今来た道を振り返った。



「な…なんだ…あれは………………」



尚人の閉じ込められている蔵の方向に、黒く大きな影が渦巻いているのが見える。

茂る木々の上空辺りを包む、禍々しい念だった…。

熱を奪われてしまうのではないか、そう思うくらい流星の体が足先から冷えていく。


(もしかして、人鬼の念が外に放出してるのか…?)


ゴクリ…唾を飲んだ。