月隠れの庭

《なぜだ…なぜ、そんな事を口にする…》


「知りたいから。どうして人間だったあなたが、死んで後、鬼の姿にならなければいけなかったのか。長い時間を彷徨うことになったのか、その本当の理由を知りたい。その役目、僕じゃダメかな…」

だが、人鬼は答えない。

その姿は戸惑い、心迷っている様子だった。


「その役目、僕じゃダメかな…恒靖…さん」


尚人は人鬼の本当の名を口にした。

《!!》

その瞬間、何かが壊れるような音が響く。

この場を取り巻く硝子の壁が崩れるような、高く澄んだ音色だった。

それと同時、鬼を眩しい光が包み込む。


「…!!」


一体、何が起こったのか…。

戸惑いながらも眩しさに、尚人は手を翳して目を細めた。