月隠れの庭

       ☆

ひんやりとした空気に、尚人は目を覚ました。

辺りは真っ暗な闇…否、闇夜に目が馴れてくると薄ら景色が見えてくる。

物が散乱しているのを見て、彼はハッと体を起こした。


(蔵から出ようとして、背後から何かに掴まれて引きずられたんだった……何か……?)


違う…尚人は小さく頭を振った。

右目が反応したのだ。


(あの時、僕の腕を掴んだのは間違いなく人鬼)


今も痛む鬼の目で、ゆっくりと周囲を見回した。


トクン…トクン…。


心臓の音が妙に大きく耳に響く。


(いる…側に、いる…)