月隠れの庭

「まぁ、それはそうだが…2人だけで大丈夫か」

「片付かなかったら、暗くなる前に切り上げて翌日に回すよ」

「そうか…じゃあ、私は先に帰らせてもらうとしよう」

正成は家の方向へと歩き出す…と、すぐに足を止め振り返った。


「…あ、尚人くん。さっきの約束は有効だからね」


ニコリ笑う正成。

「さっさと帰れ、このクソ親父っ」

流星は足元に落ちていた本を拾うと、正成に向かい投げつけた。





蝉の声が聞こえなくなり、辺りが夕闇に包まれ始めた頃…黙々と作業を続けていた流星が、口を開いた。


「今日はこの辺で止めようぜ」


蔵の中を粗方整理し、外のものも取りあえず片付いた。

「手伝ってくれてありがとう、助かったよ」

額の汗を拭いながら、尚人は微笑む。

「ま、本当はもっと適当でも良かったんだけどな…」


思ったよりキレイに片付いた蔵の中をぐるり見回すと、カーゴパンツの埃を両手で払いながら流星は外に出た。