月隠れの庭

「………」

正成は黙り込む。


(鬼の気配はない…これはヤツの仕業ではないはずなんだがな)


ゆっくりと、探るように辺りに視線を巡らせた。


その時。


カタン…。


声に反応したのか、物が動く音がした。

「!!」

流星が物音の方を振り返ると、1番奥深い突き当たりの場所から、荷物に混じって人の手がにょっきりと突き出ているのが見える。



「ここ、ここだよ・・・流星・・・」



荷物に埋もれた中から、くぐもった声がする。


「ちょっと待ってろ。今、助けてやるからな。親父も手伝ってくれ」


2人は通路を塞ぐ邪魔な荷物を次々外へ放ると、彼の手を掴み、そこから引っ張り出した。


「ありがとう…」


助け出された尚人は埃まみれではあったが、ケガはしていないようだった。