「みぃつけた…」


小さな手が、古い扉をゆっくりと開いた。

ギギギギギ…

重たげに軋む音をたてて、長い年月暗かった場所に薄日が差す。

中を覗くと、そこは暗闇。

淀んだ空気と黴の臭い。

そして、微かな息遣い。


《見つけてくれて、ありがとう》


低くざらついた声が、奥から聞こえてきた。


《お礼にコレを君にあげよう。私からのささやかな贈り物。見えないものが見える、不思議な力》


その瞬間、何かが近づいてスッと少年の右目を撫でた。

「!」

顔面に痺れるような感覚が走る。

何が起こったのが分からず立ち尽くした少年に、再び声の主は言った。


《さぁ、もう1度かくれんぼ。上手く私を捜せるかな?今度はその力を使って―――》