「何で、帰んの?用事?」 「そんなんじゃ、ないけど」 教室にはもう、誰もいない。 帰る理由が答えられなくてうつむくと 「何かあった?」 宮野くんはそうやって聞いてきた。 鼻がツーンとして、じわじわと涙が流れてく。 宮野君はこんなに優しくしてくれてるのに 私は女の子と話してるのを見て嫌な気持ちになるなんて 本当に性格が悪い。 「ごめ……っ」 言葉を詰まらせながら、謝れば 宮野くんは私の背中をさすってなだめてくれた。 「嫌だったの……」 目に涙をためながら、顔を上げて言う。