ラブソングは舞台の上で


ストップって、人の会話を邪魔しないでほしいんだけど。

初対面だから、私だって早く仲良くなりたいのに。

「なによ」

「これ以上卓弥さんと話しちゃダメ」

劇団の仲間なのに、そんな無茶苦茶な。

「どうして?」

「妊娠するぞ」

「はあっ!?」

晴海は至極真剣な顔をしている。

頭おかしいんじゃないの?

「ぶはははは!」

横でタカさんと堤くんが吹き出した。

ともちゃんが呆れ顔で言う。

「明日香ちゃん。晴海ちゃんが言ってること、ほんとだよ」

いやいや、ともちゃんまで。

それにタカさんが付け足した。

「卓弥はこの顔を武器に、女を食い散らかすのが趣味なんだよ」

趣味って、そんなまさか。

晴海ならまだしも、こんなにキレイな人がそんな悪いことしてるようには思えない。

卓弥さんはやれやれと苦笑いを浮かべた。

「みんな、無意味に俺の印象を悪くするのはやめてよ。劇団の女の子には、まだ手を出したことはないんだからさ」

ん? その回答、おかしくない?

“まだ”なんて付けると、今後はあるかもしれないという示唆になる。