ラブソングは舞台の上で


ブラック地にストライプのスーツ姿でスツールに腰掛け、赤茶色のギターを抱えている。

仕事帰りに直接来たのだろうか。

それにしても、キレイな顔をしている人だな。

男くさい晴海やタカさんとは正反対の、中性的な顔立ち。

フレームの細いメガネがよく似合っている。

年はたぶん、タカさんと同じくらい。

知的で、素敵で、気を抜くと心を持って行かれるんじゃないかってくらい、美しい。

「おー、晴海。なんだ、今日は彼女連れか?」

おお、声までイケメンだ。

「そうっす。うらやましいっしょ?」

晴海の冗談はさておき、私は初対面だ。

「初めまして。アンジェラ役の牧村明日香です」

ペコリと頭を下げると、卓弥さんはキレイな顔でにっこり笑った。

「初めまして。曲担当の卓弥です。君が噂の明日香ちゃんね」

うわーうわー。

キラキラして見える。

この人、今まで出会った誰よりも美形だ。

「噂、ですか」

「うん。歌姫が入ってきたって聞いてたから」

「歌だけが頼りです。それ以外はてんでダメなんで」

「大丈夫。ミュージカルは歌が命なんだから」

ここで急に、卓弥さんの美顔が見えなくなってしまった。

その代わり、目の前には晴海の顔。

「はい、ストップ!」

両手を広げ、真顔で立ちはだかっている。