もしかしてここ、こいつの部屋?
どうして私、こんなところにいるの?
まさか、まさか……嘘でしょ?
驚きと恐怖のあまり、私は晴海を凝視したまま固まった。
そんな私を見て、彼は意地悪な表情を浮かべる。
「そんなに俺の美しい腹筋が気に入った?」
図星だった。
無意識に目が行っていた。
でも、腹筋フェチがバレたことなんてどうでもいい。
確かに程よい凹凸と薄く出っ張るヘソは、撫で回したくなるほど私の好みであるけれど、それどころではないのだ。
「あれ? もしかして覚えてない?」
彼の問いに、寝そべったままこくりと頷いた。
「参ったなぁ。あんなに愛し合ったのに」
言いながら私のいるベッドに腰掛け、私のボサボサ頭をひと撫で。
石けんの良い香りと温かい指の感覚に、ゾクッとした。
「えっ……」
やっぱり、やっちゃったの?
昨夜、私はかなり酔っていたし、これだけ見てくれがタイプなら、あり得るような気もする。
一気に青ざめた私を見て、彼は楽しそうに笑いだした。
「うそうそ。添い寝以外何にもしてないよ。服だってちゃんと着てるでしょ」
「確かに……」
ホッとすると、私はやっと冷静になった。
でも、なぜこんなところにいるのかは思い出せない。
自分がお持ち帰りされるなんて事態、意識があったら絶対に起きないはず。



