ラブソングは舞台の上で


まだ何も書き込まれていない台本とボールペンを手に取る。

やっと今日のメインイベントだ。

冒頭のシーンは、晴海とタカさんの二人から始まる。

高田さんの合図で、スタート。

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「父上! 父上!」

「マーティン、なんだ朝から騒々しい」

「一体どういうおつもりですか」

「何のことだ?」

「私の、婿入りの話です」

「ああ。ラドミーラ王国の王女、アンジェラ姫との婚約の話かね」

「そうですとも! 勝手に決められては困ります」

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上手い。

素人目に見て、プロっぽい。

舞台用に作られた声と話し方、そしてテンポ。

それらを熟知している感じがする。

普段の話し声との違いにも驚かされた。

特にタカさんは、別人のように声が変わっている。

「次、アンジェラと女王」

いよいよだ。

私は台本をグッと握りしめ、歌うときと同じように、大きく息を吸い込んだ。