わかりやすい彼女を可愛いなと思っていると、稽古場の扉が開き、白髪混じりの男性が見えた。
高田さんだ。
稽古場の雰囲気が、一気に締まる。
もっと私に言いたそうだった恵里佳ちゃんも、目つきを変えて背筋を伸ばした。
「おはようございます!」
「ああ、おはよう。演者6人、読み合わせするぞ」
「はいっ!」
そうだった。
稽古はこれで終わりじゃない。
ストレッチと筋トレは、ただのウォーミングアップなのだ。
他の5人に倣い、高田さんの前に一列に並ぶ。
「じゃあ、発声。今日のリードはタカがやれ」
「はい」
発声? リード?
何それ、私わからないよ。
そう思っても怖くて聞けない私に、
「タカさんがやったのを真似するだけでいいから」
と晴海が教えてくれた。
真似ね、真似さえすればいいのね。



