ラブソングは舞台の上で


バテバテの私に、ともちゃんが笑顔で声を掛けてくれる。

「今ついていけなくても気にすることないよ。私も入った頃は全~然できなかったもん。こんなの慣れだよ。部活と同じ」

クタクタな時の励ましって、身に沁みるなぁ。

彼女のご主人は、毎日この笑顔に癒されているのね。

「ありがとう。頑張る」

継続は力なり、だ。

筋力も体力も、続ければついてくるよね。

少しだけ気分が上がった、次の瞬間。

「リズム感のなさは、そう簡単に直らないと思うけどぉ?」

背後から聞こえた、敵意丸出しの声。

女子高生、野村(のむら)恵里佳ちゃん。

またの名を毒舌女王様という。

女王様の一撃で、私はまた地に叩き付けられる。

「恵里佳!」

ともちゃんがかばおうとしてくれるが、恵里佳ちゃんは正しい。

リズムについて行けていなかったのは、自分でもわかっていた。

「だって本当だもーん。歌が上手いだけじゃ、晴海ちゃんのヒロインは務まらないんだからね」

可愛い顔でキッと私を睨んでくる。

何か言い返せるのなら言い返してみなさいよとふんぞり返る様子は、まさに女王様。

うすうす気付いてはいたけれど、確信した。

この子、晴海のことが好きなんだ。

だから晴海が主演するこの舞台で、是が非でもヒロインになりたかった。

それなのに何処の馬の骨ともわからない私が現れたもんだから、納得がいかない、気に入らない、いじめたいというわけだ。