ラブソングは舞台の上で


見た目は厳ついけれど誰よりもチャラチャラしているタカさんは大工さん(36歳独身)だし、同い年のともちゃんはお土産屋さんでパートをしている主婦。

脚本を書いた川原(かわはら)さんは栄養士だそうだし、作曲家の卓弥さんは多忙なビジネスマンだと聞いている。

みんな「意外」だ。

私は今までにたくさん「意外だ」と言われてきた。

「意外と頑固だね」

「意外と気が強いんだね」

「意外とハキハキ喋るんだね」

中でも最も多かったのが、

「ロックバンドやってるなんて、意外だね」

私はその度に、自分にはやっていることや好きなものが似合わないと否定されているような気がして、嫌な思いをしていた。

でも、そうじゃなかった。

「意外」って、否定的な意味ばかりじゃない。

だってこの劇団のみんなは、ちょっと意外ですごくいい。

ギャップがあるからこそ、おもしろい。

それがわかって、過去の卑屈だった自分がすごく恥ずかしくなった。

だってもしかしたら、ロックバンドをやっている私を「意外だ」と言った人の中には、「ちょっと意外ですごくいい」と思ってくれていた人が、少なからずいるかもしれないのだから。

意外であることを恥じる必要がないことがわかって、私の心は少しだけ軽くなった。

そして俄然、やる気が湧いてくる。

ハードでも練習頑張ろう。

初めてだけど、絶対に素敵な舞台にしよう。