「今日はこれで解散。来週から本格的にやるから、各自準備しておくように」
高田さんはそう言って稽古場を出て行った。
メンバーのみんなは飲みにいく気満々で、居酒屋の名前を出し合っている。
「なんであたしはいつもダメなの!」
甲高い叫び声が聞こえたと思ったら、あの女子高生だった。
晴海の腕を掴み、可愛い顔を思いきりしかめている。
だけど、さすがに制服の女子高生を居酒屋に連れて行くわけにはいかない。
「恵里佳はまだ高校生だろ。受験生なんだから、帰ってしっかり勉強しろ」
受験生なんだ。
ミュージカルなんかやって、勉強は大丈夫なのかな。
「やだ! あたしも行きたい!」
「わがまま言うな。堤、恵里佳を頼むわ」
「はい」
「堤じゃやだ! 晴海ちゃんが送ってよ」
そういえばまだ彼女たちには挨拶をしていない。
美少女はまだご立腹の様子だが、今を逃すともうチャンスがない。
私は会話が途切れたタイミングを見計らって、声を掛けてみた。
「あの、恵里佳ちゃんと堤くん、だよね」
すると美少女は今までで一番キツい顔で私を睨みつけた。
「牧村明日香です。よろしくね」
睨みに負けじと笑顔を見せると、堤くんは「どうも」と頭を下げたが、恵里佳ちゃんはツンとして言い放った。
「オバサン、邪魔」
そして私を気迫で押しのけ、出入り口へと真っ直ぐに闊歩する。
な、何、今の……。



