あたふたしていると、晴海が私の両手をガシッと掴んだ。
「さすがマイヒロイン!」
え? え? ということは。
「合格ってことでいいの、かな?」
「もちろん! 卓弥さん、今日は仕事で来てないけど、うちの作曲家なんだ。明日香の歌が気に入ったから、曲を増やすんだよ!」
そっか、よかった。
私、ちゃんとメンバーとして認められたんだ……。
安心すると、急に気が抜けてしまった。
息を漏らしながら床に座り込む。
緊張と恐怖から解放されて、もう泣きそうだ。
晴海の手の温かさが無性にありがたい。
「怖かった……」
「ははは、だよな」
だよな、じゃないよ。
笑うなバカ。
こういう人がいるなら、言っておいてほしかった。
歌が好きというだけでヒロインやるって言ったのを、心底後悔したんだから。
それからすぐに、紙袋の中身が配布された。
コピー用紙をホチキスで留めただけの台本と、ミュージカルで歌う曲のデモCD、そして歌詞カード。
台本の表紙には「マリッジ・ブレイク」と書かれている。
どうやらこれが演目名のようだ。
台本をめくると、公演までのスケジュールも記されていた。
公演は3月1日、2日、8日、9日の計4回。
これから本番まで、約3ヶ月ある。



