ラブソングは舞台の上で





私は高校を卒業してすぐにこの会社に入社した。

実家は他県にあるため、入社以来、会社借り上げのアパートで独り暮らしをしている。

入社1年目は仕事を覚えたり一人で暮らすことに精一杯で、恋愛とは縁がなかった。

森翔平と付き合い始めたのは、入社2年目、私のハタチの誕生日の日からだ。

あの日は誕生日なのに、自分のミスのせいで遅くまで残業をしていて、たまたま営業先からの帰りが遅かった彼と帰りの時間が同じになった。

車で送ってくれるというのでお言葉に甘え、会話の流れで実は今日が誕生日なのだと告げると、食事に連れて行ってくれた。

その帰りに彼の方から告白され、私たちは恋人同士になった。

似た者同士のカップルだったと思う。

思ったことを顔や口に出すのがあまり得意ではなく、周りからクールだと言われるところなんかは特に似ていた。

彼は私にピッタリの相手と思った。

だから、私たちの関係はうまくいっていた……はずだった。

いつからだろう。

いつの間にか、私は彼との関係を重荷に感じ始めていた。