詩帆さんはどれくらいの頻度でオヤジさんと会っているのだろう。
他の男の話を聞くからあまり頻繁ではないような印象を受けるが、実際は定期的に会っているのでは?
聞いてみたいけれど、オヤジさんについて突っ込んだ質問をするのは勇気がいる。
「最近よくクソオヤジが話題に上がるね。会ってみたくなった? オススメしないよ」
詩帆さんはニコニコ笑顔でグラスを空けた。
すかさず店員に次の酒を注文する。
もう7杯目だ。
女二人で男の愚痴を肴にすると、酒が進む。
すっかり酔ってしまった。
私はまだ2杯目だけれど。
「詩帆さんが彼と結婚するなら会います」
「しないと思うよ」
「だったらどうしていつまでも関係を続けてるんですか?」
「わかんない。こないだ言ったでしょ。気付いたら入ってるの」
入ってるって……。
私はチョコレート売り場でのことを思い出して慌てて周囲を見回す。
だけどここは居酒屋だ。
近くに純朴な中学生はいない。
「きっと他の女も同じ手口で食ってんのよ。大人になると恋愛と肉体関係がどんどん離れていって面倒よね」