ラブソングは舞台の上で


二人で事務所に入ると、朝礼が始まろうという時間だった。

慌てて各々の席へ着く。

今週の主なイベントと今日の業務連絡、そして工場の作業に関して事務方にはよくわからない伝達が行われる。

「他に何か連絡がある人はいないかな?」

工場長がそう言うのを、私はドキドキしながら待っていた。

「は、はい!」

手と声を上げると事務所に射る全員の視線が私に向いて、一気に心拍数が上がる。

「牧村さん、珍しいね」

「すみません、実は業務のことじゃないんですけど。ちょっと宣伝させてください」

「宣伝? いいよ」

私は軽く息をついて、前に出た。

声が震えそう。

「あの、実は私、ミュージカルのチケットを持ってるんです」

事務所のみんながポカンとした。

そりゃそうだ。

私がいきなりミュージカルだなんて言い出すと、ビックリするよね。

「この町にあるアマチュア劇団のミュージカルなんですけど、台本から楽曲まで全てオリジナルで本格的にやってて、見応えあるんです」

こうして改めて人に紹介するのは緊張する。

彼らの良さをどう表現したら、みんなが興味を持ってくれるだろう。