帰宅すると気が抜けて、真顔をキープすることができなくなった。
フラフラ靴を脱ぎ、一人ベッドに泣き崩れる。
この2ヶ月間、私は晴海のために必死だった。
それがたった一言で無意味になってしまった。
手元に残ったのは私が出ないミュージカルのチケット10枚のみ。
この紙切れのせいでこうなったのだ。
私が恥ずかしがってさばくことができなかったから……。
今まで意識したことがなかったけれど、私、本当に孤独なんだな。
家族や友達は県外にいて滅多に会えないし、長く付き合った彼氏とは別れてしまった。
卒業以降、仕事と翔平にしか関わってこなかった。
それだけでそこそこ忙しかったし、充実しているような気になっていたけれど、翔平一人失ってこの様だ。
自分の行動範囲の狭さに呆れる。
詩帆さんが心配して合コンに強制参加させた意味が、やっとわかってきた。
その成果さえ、たった一言でダメにしてしまったわけだけれど。
ミュージカルはこれからどうなるんだろう。
晴海、誰にも相談せずに私をクビにしたから、きっとみんなに責められるんだろうな。
恵里佳ちゃんにも言うのかな。
『俺のヒロインになって』
『俺たちは一心同体』
すごく悔しいけれど、ヒロイン取られちゃった。
でもこれで、彼女の夢は叶うことになる。



