ラブソングは舞台の上で


ググッと、晴海が奥歯を噛む音が聞こえた。

両手は色が変わるほどに硬く握られている。

激高しそうなのを、必死に堪えているようだった。

私は言葉と感情を持て余し、堪えられず目から涙をこぼす。

「違う……そういう意味じゃ……ない」

口が震えた。

ますます言葉は出ていかない。

どう弁解すれば信用を取り戻せるのか……いや、それよりもまず、どう振る舞えば彼の怒りを鎮められるのか、見当もつかない。

晴海が必死に言葉を探す私を畳み掛けるように攻め続ける。

「どんな意味にしろ、恥ずかしいって思ってんのは事実だろ」

一瞬、ショックで目の前が真っ暗になった。

私という女のアイデンティティーを、否定されたような気がした。

「恥ずかしい」という感情を抱くこと自体がダメなの?

感情は自然に沸き上がるものだから不可抗力なんじゃないの?

取りつく島もない彼に、恐れに混じって怒りの気持ちが湧いてくる。

「こんな気持ち、晴海にはわかんないよ……」

明るくて、アクティブで、自分を表現することに慣れていて。

そんなあんたには自分のことを伝えるのに恥じらいを感じることはないのかもしれないけれど、私はそういう人間じゃない。