「それじゃあ今日は解散。お疲れ」
「ありがとうございました!」
今日の稽古が終わった。
チョコレートの癒し効果のおかげなのか、今日は恒例の悪口タイムはない様子。
ともちゃんは旦那さんが早々に迎えにきて着替えずに帰ってしまい、恵里佳ちゃんと堤くんもいつの間にかいなくなっていた。
タカさんは晴海と話しながらカゴのチョコレートをつまんでいたが、私が着替えて出てきたのを見て、ニヤリと笑い帰っていった。
気を使ってくれたらしい。
二人きり。
そんなのいつものことなのに、今日は妙に緊張する。
晴海用のガトーショコラは痛まないよう、ここへ来てすぐにこっそり冷蔵庫に入れてしまった。
帰るとき忘れずに取り出さなければ。
「今日は自主練、しないの?」
晴海の声が部屋に響いた。
「うん。するつもりだったんだけど、今日はもういいかなって思って」
集中できそうにないし。
「そうだな。もう大分完成されてるし、これ以降は体調とか怪我とか、コンディションのことを考えた方がいいかもな」
「うん、そうだね。ヒロインが当日欠席するわけにはいかないもんね」
「あ、そうだ。チケット10枚、いけそう?」
不意に痛いところを突かれて、ギクリと肩が震えた。
「あー……、そのことなんだけど」



