ラブソングは舞台の上で


ああ、切ない。

この後、二人は束の間の愛と幸せを味わい、そして泣きながら別れる悲しいデュエットソングが挿入される。

「何度やってもこのシーンは悲しいね」

私がため息混じりに呟くと、晴海は何ともないような感じで言った。

「でも最後には結ばれるじゃん」

「まあ、そうだけどさ」

結末を知っているからって、身も蓋もないな。

「このシーン、俺は好きだけどね。ほら、11時過ぎた。もう帰ろう」

「あ、うん。着替えてくる」

悲しいけれど、私もこのシーンをやるのは嫌いじゃない。

二人が愛を語らうこの場面では、抱き合ったりキスを(するフリを)したりする。

高熱などの口実がなくとも触れ合えるのは、まさに役得だ。

ただ、当然だが舞台仕様の体勢で抱き合う。

代表的なのは、右肩を抱かれ彼の左手と私の右手を絡ませ、少し汗ばんだ彼の肩に頭を預けるスタイルだ。

晴海と触れ合うのは、体の背面や側面ばかり。

真正面からぎゅっと抱き合えないのは、もどかしい気持ちにもなる。

実際に彼とキスをしたり抱き合ったりするともっとフィットするから、物足りないのかもしれない。