恥ずかしげもなくそんな言葉を言ってのける。
彼の思惑通り、私は照れて黙ってしまった。
晴海は私も彼に好意を抱いていることを察した上で、それを利用して面白がっている。
これが良い舞台を演じるための相棒の扱いなのか。
納得いかない。
だから私は、きっぱり否定した。
「ダメだよ」
「なんで?」
「未来がないから」
あんた、この町から出るんでしょ?
だから付き合う気もないんでしょ?
晴海は舞台が終わったらすぐに新生活が始まる。
新たな出会いや刺激に溢れた、輝かしい毎日が待っている。
だから彼は私への気持ちなんて簡単に忘れてしまえるだろうけれど、私は今後も変わらずこの町でひっそり生きていく。
いつか新しい恋に没頭できる日まで、晴海への気持ちを噛み砕いて暮らしていくのだ。
晴海は私の嫌味から逃れるように目を逸らし、ため息をついた。
「せめてこの町が俺の地元だったら良かったのにな」
晴海の故郷は、私の故郷よりも少し遠いところにある。
卒業してこの町を出て行ってしまえば、特別な用事でも作らない限り立ち寄る機会はないだろう。



