ラブソングは舞台の上で


吐き出して皆で共有・共感することにより、今日の鬱憤を分散あるいは希釈する。

それが穏やかな心を取り戻すのにどれくらい効果的なのか。

未熟すぎて悪口など言える立場にない私には不明だ。

程度は不明であれ、効果は確実にあるらしい。

稽古終了直後はみんな眉間にしわを寄せているのに、解散して帰路につく頃には笑顔になっている。

みんなを見送ると、晴海と二人になった。

「明日香、帰らないの?」

「休んだ分、残ってダンスの自主練して帰るつもり。晴海は先に帰って」

はじめからこうしておけばよかった。

この時間ならまだバスが出ているから、乗って帰れるならそれがベストだったけれど、諦めた。

だけど、自宅で踊ると苦情がくるし、外でやろうにも、また先日のようなことになってはたまらない。

晴海とカラオケで特訓していた頃だって歩いて帰っていたんだから、問題ない。

たかだか20分の距離だ。

「いや、それなら俺も残る」

「遅くなっちゃうよ」

「平気だよ。俺もう学校ないしサークルも引退したから、バイトと就職先から出された課題しかやることないもん」

「でも……」

「じゃあ、好きな女の子と少しでも長く一緒にいたいからって理由じゃダメ?」