パタンーー……
扉が閉まると、この場に残っているタカさんと晴海、そして私の小さなため息が見事にハモった。
それが可笑しくて笑った音までキレイに重なる。
「恵里佳、何とかなったな」
先に声を出したのはタカさんだ。
「なりましたね」
晴海はくたびれた顔で頭をかく。
「お前、超冷静な感じで公開告白したな」
「そうっすね。そうなりますね」
「大丈夫か?」
「こないだ一回告ったんで平気っす」
「マジか」
彼らの気だるくてゆるい会話の間に、外から微かに声が聞こえた。
恵里佳ちゃんと堤くんだろうか。
何気なく窓から道の方を見下ろしてみる。
「ひゃっ……!」
驚いて、つい軽く悲鳴を上げてしまった。
「どうした?」
「いえ、何でもありません。思ったより、窓が冷たくて……ははは」
とごまかしながら、もう一度見下ろしてみる。
私が見てしまった光景は、さっきとほぼ変わっていなかった。
堤くんが恵里佳ちゃんをギュッと抱きしめ、キスをしている光景。
ただし、一度目に見た時は無理矢理な感じがしたけれど、今はそうでもないような印象を受ける。
願わくば、今まで懸命に恵里佳ちゃんを支えてきた堤くんが、報われますように。