ラブソングは舞台の上で


「手当たり次第合コンに参加しまくってまで、外部からヒロインをスカウトしたかったのには、理由があるんだよ」

手当たり次第参加しまくってたんだ。

昨日はそのうちの一回だったわけね。

「理由?」

「そう」

晴海は袋から、最新のものだと思われるDVDを取り出した。

表には今年の夏の日付が書かれている。

「ちょっと見てみる?」

「うん」

晴海は「うちにはプレイヤーがないから」と苦笑いをして、ノートパソコンにディスクをセットした。

間もなくして、再生が始まる。

すると彼は、すぐさま早送りをした。

「えっ? 見ないの?」

「見てほしいのは、ここから」

ポチッとトラックパッドをタッチ。

再び再生された映像には、曲に合わせて団員だと思われる女性が滑らかに踊っている。

この曲、オリジナルだろうか。

機械で作った音だけど、なかなかのクオリティだ。

そしていよいよ歌が始まって——……

「俺が財布すっからかんになるまで合コンに通い詰めた理由、わかった?」

晴海の問いに、私は静かに首を縦に振った。

「何ていうか……アレだね」

「ハッキリ言っていいよ」

じゃあ、遠慮なく。

「……下手だね」