ラブソングは舞台の上で


驚いた。

動作が加わるだけで、城の情景が感じられる。

初心者である私には十分上手だと思えたが、高田さんが立ち位置や距離感の調整、声のトーンや身振りの細かい指導を行っていく。

「晴海。そんなに近づいてどうすんだ! 舞台はこれだけあるんだぞ」

「堤はもっと機敏に動け。国家を代表する執事が、ちんたら動いてるわけがないだろうが」

「タカはもっと杖を使え杖を。偉そうに座ってるだけじゃ威厳は出ねーぞ」

ただこの演出家、いかんせん口が悪い。

言われている本人でない私たちがヒヤヒヤするくらい、人の神経を逆撫でするような言い方をする。

これだから、稽古の後15分は高田さんの悪口タイムが恒例化してしまうのだ。

……怖いなぁ。

私は一体どれくらい罵られるのだろう。

前に晴海が私をMだと言ったが、決して罵られて喜んだりはしない。

男子勢の指導が終わる頃には、彼らはぐったりしているようだった。

「次、ラドミーラ組」

「はい!」

とうとう私たちの番が来た。

ヒロインをやりたい恵里佳ちゃんも、ここではきちんと女王役の稽古を全うする。