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物語は男性陣によるベルタ王国のシーンから始まる。
最初に舞台に現れるのは、偉そうに鎮座するベルタ王と、側に控えるバトラーだ。
マーティンこと晴海は下手の袖に控えている。
「父上! 父上!」
呼んでから彼らに駆け寄る。
このタイミングでバトラーは片膝をつき、王子に敬意を示す。
「マーティン、なんだ朝から騒々しい」
「一体どういうおつもりですか」
両手の平を天に向け、肩の高さで強く振る。
疑問をアピールするジェスチャーだ。
ここでバトラーは元の立ち姿勢に戻った。
「何のことだ?」
「私の、婿入りの話です」
「ああ。ラドミーラ王国の王女、アンジェラ姫との婚約の話かね」
「そうですとも! 勝手に決められては困ります」
王に向かって訴えているにも関わらず、体は観客の方へ向ける。
実生活であれば不自然だが、それが演劇だ。
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