「あの、私には何もないんでしょうか」
高田さんに控えめに尋ねてみる。
だって私だけ何もないなんて、寂しい。
「ない」
「……そうですか」
「アンジェラは衣装が派手だし重くなるから、あえて何も準備していない。衣装を着て踊るだけで、相当キツいだろうからな」
「覚悟しておきます」
私の衣装は、幼少期に憧れたような、ザ・お姫様なドレスだと聞いている。
買うと高価なので、おばさまたちが作ってくださるそうだ。
推定だとカツラだけで約1キロ、ドレスは3キロ以上あるという。
結婚式のシーンもあるので、早着替えのため、そのドレスの中にウェディングドレスを着込むという。
そんな格好でダンスまでやるのだから、身軽なうちに体に叩き込んでおかねばならない。
「それじゃあ冒頭のシーン。立ち位置は確認したな? テープの内側が実際の舞台だ。始めるぞ」
「はい!」
各々台本を持って持ち場に着く。
高田さんの合図で、スタート。



