本格的な立ち稽古は、私の合否が決定する今日から始めると、昨年のうちから決まっていた。
複雑な気持ちで着替えを済ませ、稽古場に戻ると、銀行員ダンサーの石原さんが到着していた。
何やらタカさんと話している。
先ほどの騒動のことだろう。
セリフの言い回しは12月のうちにおおかた完成させたから、これからは身振り手振りとダンスが稽古のメインになっていく。
一ヶ月前と比べれば、体は格段に柔らかくなったし、筋肉も付いてきた。
セリフは晴海頼りだったけれど、プロの舞台を見せてもらって、少しは役者センスが磨かれたと思う。
だけどやっぱり、ダンスはまだまだ苦手だ。
「明日香ちゃん、ワンテンポ遅れてる」
「すみません!」
「足上がってないよ」
「すみません!」
「そこでしっかり腰落として」
「はい!」
注意を受けるのは私ばかり。
このメンバーの中では圧倒的に下手である。
家でもちゃんと練習しよう。
この役をやりたくてもやらせてもらえない人がいるのだ。
恵里佳ちゃんと同等に演じられるように……いや、せめて恵里佳ちゃんに認めてもらえるくらいにはならなくちゃ。
これ以上私のせいで空気を悪くしたくない。



