待ち合わせはいつもの場所。
時間は7時過ぎ。
今日は年明け最初の稽古である。
私は緊張のあまり、7時より10分も早く待ち合わせ場所に来てしまった。
なぜ緊張しているかというと、初回の稽古の時、高田さんにこう言われていたからだ。
『来年一発目の練習でまともにセリフを言えないようなら、アンジェラは別の女にやらせる』
私は今日、クビになるかもしれない。
12月は稽古の後、毎回晴海とカラオケボックスに通い詰め、特訓した。
その成果はあったと思う。
セリフだけなら、晴海が納得するレベルには到達している。
しかしそれが演出家の高田さんにとってはどうか……ということである。
落ち着かなくて、つい暗記したセリフをブツブツ呟いてしまう。
周りの目には危ない人に映っているかもしれない。
これで私が失格になってしまったら、アンジェラは誰がやるんだろう。
やっぱり恵里佳ちゃんかな。
もしそうなったら、女王役は誰がやるんだろう。
夏に晴海を取り合った女の子のどちらかに、話が行ったりするのかな。
せっかくここまで練習したし、アンジェラは譲りたくない。
だからどうか、認めてもらえますように。
考えれば考えるほど緊張が高まっていく。
「明日香、お待たせ。ははは、すげー怖い顔してる」
マーティン王子のお出ましだ。
私の運命がかかっているというのに、あまりにも緊張感のない笑顔に不満が募る。



