聞こえた瞬間、ショックのあまり携帯を落としそうになった。
動揺で頭がグラッとする。
ダメか……ダメなのか……。
心が凍り付いて涙まで滲んできた。
「そっ……か……。ごめんね、急に。迷惑だったよね」
できるだけ自然に話すよう努力したが、鼻声になるのは避けられなかった。
「あ、いや、そういう意味じゃなくて」
晴海が慌てて言い加える。
「え?」
「もう暗いし、寒いし。俺が行くよ。明日香ん家に」
「あ……そういうこと」
拒絶されていないことがわかってホッとした。
自分から電話して強く出たくせに、少しのことに敏感になって、激しく一喜一憂している自分は、なんて哀れなんだろう。
感情を閉じ込めることに慣れすぎた私は、それを出すことだけでなく、誰かの感情を受け入れることもままならないようだ。
私は電話を切るなり大急ぎで自宅へ帰り、簡単に部屋を掃除をしてコーヒーを淹れる準備をした。
晴海がうちに到着したのは、私が帰宅してから約1時間後。
時刻にして午後8時くらいだった。
寒さで頬を赤く染めた晴海は、やっぱり気まずそうな顔をしている。



