ラブソングは舞台の上で


恵里佳様は開脚して体を横に倒した状態でおっしゃる。

「どんな動きでもキレイに見えるよう努力してるもん。当たり前でしょ」

そしていったん体を起こし、さっきとは逆に体を倒す。

「でも、ただのストレッチだよ」

「ただのストレッチでも、みっともない姿なんて人に見られたくない」

人、か。

晴海だけにキレイに見られればいいんじゃないんだ。

キレイな人って、こういう部分の意識からして格が違うのね。

勉強になる。

私も負けじと開脚して体を倒してみた。

脚は100度ちょっとしか開かないし、最近やっと手が足に届くようになった。

美しさを演出する技術などないし、そもそもそんな余裕などない。

「遅れをとってるわけじゃないのに、元日から自主練なんて、すごいよ。受験勉強だってあるんでしょ?」

恵里佳ちゃんは冷めた目で私を一瞥し、すぐに鏡に映る彼女に視線を戻した。

汚いものでも見るような態度の恵里佳ちゃん。

必死に仲良くしようとする私。

そんな私を嘲笑うように、彼女はハッキリ告げた。

「褒めてもらったところ申し訳ないけど、あたしがここまでやってるのは、明日香さんをヒロインから引きずり下ろすためだから」