ラブソングは舞台の上で


まさか誰かが来るなんて思わなかった。

鏡越しに確認すると、入ってきたのは恵里佳ちゃんだ。

鏡には互いに驚いている顔が写っている。

「明日香さん、なんでいるの?」

不満そうに言う女王様。

「私、人一倍練習しなきゃいけないから」

笑って見せると彼女は鼻で笑って言う。

「……そうだね」

否定しないところはさすがというべきか。

恵里佳ちゃんは新年会とは着ている服が違う。

さっきは可愛らしいふわふわのカットソーにホットパンツだった。

今はいつも稽古のときに着ている運動着で、バレエシューズも持ってきている。

一度着替えに戻ったようだ。

軽く体を動かすだけのつもりだった私とは違って、本格的に自主練をしに来たらしい。

恵里佳ちゃんは私から少し離れたところに腰を下ろし、ストレッチを始めた。

恵里佳ちゃん、本当に整った顔をしているな。

スタイルもいいし、頭もいいみたいだし、若いし。

性格はちょっとアレだけど、小生意気なところは年上の男たちにとって魅力的なんじゃないだろうか。

「あんまり見ないでくれる?」

「あっ、ごめん。動きとか形とか、キレイだなって思って見とれてたの」