そういえば、キス直前。
『おととい男連れで帰ってきたから、怒ってるの?』
という私の言葉に、晴海は激しく反応していた。
私はそれもまた、送り狼になる可能性があるから、簡単に男に送らせるなという教育なのだと思っていた。
『千秋楽までは俺の女』
この言葉だって自分の卒業公演に対する熱意の現れで、かつ危なっかしい私への戒めだと思っていた。
だけどもし、ヤキモチだったのだとしたら。
独占欲の現れだとしたら……。
いやいや、落ち着け私。
自意識過剰になりすぎてるんじゃないの?
だってこんなの、晴海が私のこと好きみたいじゃん。
もしそうだとしたら、クリスマスに手を繋いだ意味、わざわざ心配して家まで来てくれていた意味、おとといのキスの意味だって変わってくる。
どうしよう。
バカみたいに期待が膨らむ。
晴海の行動全部が私中心に動いているような気がして、自惚れてしまいそう。
忘れなきゃいけなかったはずの気持ちが、ここぞとばかりに溢れ出してくる。
「複雑な顔してるけど、何か思い当たった?」
「いや、うん」
「どっちなの」
「思い当たったんだけど、違ったらあまりにも恥ずかしいから口に出せない」
「えーっ、いいじゃん教えてよー」
ともちゃんはそれからしつこく様々なことを尋ねてきたけれど、私は何とか黙秘を続けた。



