ラブソングは舞台の上で


「確かに私たち、うまくはいってたね」

「だったら、どうして? 何かヒントをくれよ」

答えをくれとは言わないところが翔平らしい。

自分が感情や気持ち、考えを表に出さないから、他人にもそれを求めない。

何でも自力で考えて答えを出したがる、無駄にストイックな性格のせいで、遠回りをしてしまう。

「理由が知りたいなら、答えを聞けばいいじゃない」

私も少し強い口調で言った。

芝居の練習が功を奏してか、なかなかうまく感情を乗せられたと思う。

翔平は悔しげに表情を歪めた。

彼自身、素直になれない性格のせいで、遠回りをしていることはわかっているのだ。

「そんな身も蓋もないこと聞けないよ」

「だったら、私も言えない」

「だからヒントを……」

「そういうとこだと思うの」

怒りを含んだ私の声が、民家の壁に反射して響いた。

私は翔平を見るが、彼は私に顔を向けない。

翔平は私と向き合わず、逃げている。

私の本心を、真正面から受け止めるつもりがないのだろう。

彼にとって都合のいい私でないと、困るから。

「そういうとこ?」

「答えを聞けばいいのに、ヒントから都合よく解釈して真実から目を背けるとこ」

私たちはどちらも臆病者で、自らの感情を殻に閉じ込め、傷つくのを恐れている。

似た者同士が殻と殻を寄せ合っていただけで、お互いの気持ちを汲んで相手を幸せにする努力をせずに過ごしてきた。

「私たち、もっと本音を話すべきだったんだと思う」

本音を語り、受け入れることを避けていた私たちは、4年も付き合っていたのに、本当は互いのことを何もわかっていない可能性すらある。

翔平はより悔しそうな顔を浮かべた。