「ポチ~、行こう!」 みゆちゃんは、いつものように赤いカバンを背中にくっつけた。 それから、僕を抱っこして、玄関へ向かう。 「ちょ、みゆ!?なんでぬいぐるみ持ってくの!」 「えへへ、だって今日は一緒にいたくて!」 「邪魔になるだけでしょ!」 そして始まる、みゆちゃんとお母さんのケンカ。 「いいじゃん!行ってきまーすっ!」 「こら……っ。みゆ!」 ガチャ、とみゆちゃんはドアを開けて、家を飛び出した。 家から逃げるように走るみゆちゃん。 通り抜ける風が、気持ちよかった。