泣き虫らいおん【短編】




だけど、喜べたのはほんの少しの間だけ。




ヒューーーーーン……………




僕の体は、みるみる地面に向かって落ちていく。


ゆみちゃんの家のベランダを越えて。


どんどん、落ちるスピードは速くなっていく。


やがて、ポチャンッ!という音がして、僕は水たまりの中に落ちた。


口の中に、汚い水が入ってくる。


苦しい、早く出ないと。


だけどそのとき、あたりがだんだん明るくなってきていることに気付いた。


上を向くと、月の代わりにあったのは太陽。


僕は弱い。


ぽろりと一つ涙がこぼれ、それは水たまりの中に沈んでいった。


もう、朝だ。


僕は上を向いたまま、動けなくなった。