突然、室内に響いたノックの音。
その音に勢いよく離れた私達は、顔を逸らして場を取り繕う。
「あ、はい!すぐ行きます!」
誉くんが声を上擦らせながらドアの向こうにいるママにそう返事して。
直後、耳に届いたママの足音に私達は同時に小さく息を吐き出した。
「華恋ちゃん、行こうか」
俯いた私の頭にポンッと乗せられた誉くんの大きな手。
その手にそっと顔を上げれば、いつもの穏やかな瞳が目に映って。
「……うん」
私はその瞳をどうしても直視することが出来ず、そっと俯いてからそう返事をした。
───トントントン。
階段に鳴り響く私と誉くんの足音。
視界には私と誉くんの手が映っていて、まるで恋人同士のようだ。
ぶっちゃけ、緊張しすぎて繋いでる感覚が全くない。
だって、今まで私が誉くんの服の裾を掴む事はあっても、こんな風に手を繋ぐ事なんてなかったから。
……ねぇ、誉くん。
なんで手を繋ぐの?
なんで抱き締めたの?
“華恋ちゃん、俺──”
──さっき、何を言いかけたの?
ねぇ、知りたいよ。誉くん。


