「トノさん、心労もひどいだろ?」


 と訊いてきた。


「ああ、まあな。目先のことが心配でね。参ってるよ」


「気にしても仕方ないんじゃない?警察官だって人間なんだし」


「そうだね。俺もそう思ってる。……シマさんも心配事あるだろ?」


「そりゃあるよ。俺だって生身の人間だからね。警官なんて、危険と常に隣り合わせなんだし」


 島田も本音を漏らす。


 その日、蕎麦屋を出て、署へ戻り、課内で庶務をこなした。


 勤務時間中、ずっと調書を整理し続ける。


 俺もパソコンのキーを叩きながら、腱鞘炎やドライアイなどがひどくなっていた。


 だが、仕方ないと思い、執務を行う。


 樋井が課長席からじっと見ている。