疲れていると。


 だが、そうも言ってられない。


 そして時間はあっという間に過ぎていく。


 その週が終わり、後任の課員への引継ぎが完了したのは、三月三十一日の夜だった。


「トノさん、今夜飲まない?」


「ああ、一杯やろうか?」


「うん。明日から勤務地は新宿じゃなくて、桜田門だからね」


 島田は緊張感があるようだ。


 俺の方もゆっくりと息をつく。


 多少疲れているのだが、揃って新宿の裏手の居酒屋であるキタシロに入っていった。


 そしてビールや焼酎などを飲む。


 酒が入ると、酩酊してしまって、体全体が重たくなる。


 だが、昼間の緊張感は紛らわせた。