そして控訴も間々ならないまま、服役するなど論外だからだ。


 まあ、人間はいろいろと事情があるのだが……。


 ゆっくりする間はない。


 急いで、新年度までにやれることをやってしまおうと思った。


 島田が、


「トノさん、課内庶務、続けようよ」


 と言う。
 

「ああ、そうだな。立て込んでるし」


 そう返し、お互いデスクで、また昔の調書を起こす。


 ずっとキーを叩き続けた。


 暇はない。


 仕事漬けだった。


 所轄でも、この程度のことは日常茶飯事である。